インプラントQ&A
インプラントに関するよくある質問
Q.インプラント手術は誰にでも可能ですか?
A. 十六歳未満の成長期にある子供でなければ、誰にでも手術は可能です。高齢者でも元気な方であれば大丈夫です。生活習慣病といわれる高血圧や糖尿病、心臓疾患、脳血管障害、女性に多い骨粗しょう症、関節リュウマチなど、病気が悪化しているときや症状が思わしくないときは避けてください。しかし、これら生活習慣病などで、内科医に受診中で投薬治療を受けていても、症状が安定していてコントロールされていればインプラント治療をしても大丈夫です。もちろん、主治医と相談して治療を進めていきます。
なお、喫煙者は非喫煙者と比べ、生活習慣病のリスクが高いので、統計的にインプラント手術後の経過に悪い影響を及ぼすといわれています。
Q.手術の際に入院が必要ですか?
A. 基木的には入院の必要はありません。 但し、特殊な症例の場合や、全身疾患を有する患者さんの場合には入院して手術を行なうこともあります。
Q.治療朗間はどのくらいかかるのですか?
A. インプラントを埋入した部位や個人によって差がありますが、4ヶ月から7ヶ月程度の治療期間が必要となります。
Q.インプラントの寿命はどのくらいですか?
A. インプラントをとりまく環境によって変わります。たとえば、上顎か、下顎か、インプラントを支える骨は十分に存在したのか、骨の移植をしたのか、噛み合わせの状態は悪くないのか等、数多くの条件によって寿命は影響されますので一概にはいえません。また、生活習慣の有無や身体的な状態、個人差などでも異なります。
過去の統計からみると、下顎は5年以上機能しているインプラントが97%、10年以上では90%で、上顎ではこれより少し下回ります。インプラントは、虫歯になりませんが、インプラントを長持ちさせるためには、プラークコントロールなど患者様自身の口腔衛生管理が大切になります。必ず歯科医院で定期健診を受け、インプラント周囲粘膜の炎症の有無、噛み合わせのチェックなどを受けることが重要です。さらに心構えとして、何歳までもつか?ではなく、あなた自身が生涯もたせようとする努力が大切です。
Q.治療費用はどのくらいかかりますか?
A. 現在は保険治療の適用になっていません。 埋入するインプラントの本数など治療の内容により異なりますので、詳しくはお尋ね下さい。
Q.インプラントは将来、身体に悪影響を及ぼさないでしょうか?
A. インプラントの材料であるチタンによる金属アレルギーは、今までに報告されたことはありませんから、ほとんど問題は起こらないでしょう。チタン製のインプラントの場合、チタンそのものが体内に入りこむのではなく、チタンの周囲にできた酸化膜と骨ががっちりと結合するのです。
光学顕微鏡で見ると骨と結合しているように見えますが、電子顕微鏡レベルで見ると骨とインプラントは結合していないのです。チタンと骨の間にある酸化膜は何重もの層をなしています。非常に薄い膜ですが、この膜がチタンを包んでいるおかげで、チタンが身体に流出することはありません。
アレルギー体質で、チタンに対しても不安を感じる方は、アレルギーの原因を調べるパッチテストを受けてみることをお勧めします。どんな治療を受けるにせよ、安心して、納得して受けることが一番大切です。皮膚科やアレルギー外来で相談してみましょう。
Q.インプラント治療を受けたいのですが、すぐに治療してもらえるのでしょうか?
A. 歯周病などを完全に治して感染源をなくすとともに、綿密な治療計画を立ててから治療に入ります。CTや血液検査などの綿密検査をして、万全の治療計画を練り、ようやくインプラント手術へと進むのです。
初診から手術までの期間は、口のなかの状態やインプラントの埋入本数にもよりますが、最短でも1~2週間かかります。
Q.外科治療と聞くとなんだか恐ろしい気がします。大丈夫なのでしょうか?
A. 適切な処置をすれば、恐ろしいことは一つもありません。痛い、怖い、危険等々、手術につきまとうのは悪いイメージばかりです。手術と聞くだけで恐怖心や嫌悪感を抱く方は少なくないでしょう。
しかし、インプラントの手術には、実際には危険も痛みもほとんどありません。外科的治療、つまり身体にメスを入れるのですから、その意味での危険は伴いますが、万全の態勢で態勢で臨めば回避できます。さらに、メスを使わないフラップレス手術もできますので、より外科的刺激は少なくなっています。
Q.インプラントの手術時間はどのくらいですか?
A. インプラントの本数にもよりますが、手術そのものは短くて30分、長くても1時間ほどで終わります。それ以上時間がかかる場合には二回に分けて手術を行います。
治療では、まず痛みを感じないように術前に痛み止めなどを服用し、5~10分かけて麻酔液を入れます。手術が終了したら、止血するまで30分くらい休んでから帰っていただきます。すべての時間を合計すると最長で1~2時間ほどですから、お昼ごろに来院されれば夕方には帰宅できます。
Q.手術のあとで痛くなったり、腫れたりしないのですか?
A. 人によって程度が異なりますが、痛み、腫れ、シビレが出ることがあります。しかし、1週間~3週間を経過すれば、自然と治まります。
大変まれなケースですが、痛みが1週間以上続く場合は原因を考える必要があります。残存する天然歯の痛みかもしれませんし、挿入部位の痛みであれば、感染による反応かもしれません。また、神経に触れていなくても、神経に近づくことによってシビレが出てくることがありますが、いずれにしても対処法はありますので、1週間以上痛みが続くときはインプラント担当医の受診をお願い致します。
Q.手術のあとの食事について教えてください
A. 総インプラントの場合は、手術後に入れ歯を調整して使えるようにしますが、柔らかいものを食べていただくことになります。天然歯が残っている場合も、硬いものは1週間ぐらい控えていただいた方が安心です。また現在では、術後に仮の歯を入れられますので、その場合は普通に食事をすることができます。
Q.インプラント義歯は壊れることはないのですか?壊れたらどうするのでしょうか?
A. 壊れたときにインプラント自体が折れてしまわないように、義歯とインプラントをつなぐネジが意図的に壊れやすくつくってあるものもあります。また、ネジが折れないような構造にすることが大切と考える学派もあります。いずれにしろ過大な力が加わればインプラントが折れることがまれにありますが、本数を多くして加わる力を分散させ、過大な負担がかからないように調整し、そのうえで、折れにくい構造にすれば、インプラントは壊れることはありません。上部構造や人口歯が壊れた場合は、修正ができるので問題はありません。
Q.おせんべいやアワビなど、何でも噛めますか?
A. 天然歯で噛めるものは、何でも噛めます。せんべい、たくあん、フランスパン、肉類など、普通の入れ歯では噛めなかったものでも、インプラントなら大丈夫です。インプラントでなんでも噛めるようになり、審美的にも美しくなると、人生も変わります。
Q.インプラントは歯周病になりますか?
A. プラークコントロールさえできていれば、天然歯が歯周病になるよりずっと低確率です。天然歯と歯肉の間にプラークが入り込むのと同様、インプラントと歯肉の間にもプラークが入り込んで歯周病の原因になるわけですから、その違いは気になるところですが、インプラントでは、プラークが歯肉に入ってくると「バイオロジカルシール」というものが形成され、歯肉のなかでバリアとして機能します。従って、インプラントが歯周病になりやすいことはありませんが、正しい歯磨きを実行して、プラークコントロールをする必要があります。
Q.術後にシビレが出たら、どうなるのですか?
A. 通常、神経を損傷した場合、マヒが出たりシビレが出たりしますが、もともと神経が通っていた場所にきちんと神経が再生すれば、マヒやシビレは収まってきます。
しかし、神経がきちんともとに戻らず、内でとぐろを巻いたようになると激烈な痛みを伴います。ですから、術後に痛みがあるようであれば、インプラントをすみやかに撤去し、神経が再生するのを待つのが最良だと思います。
Q.人間は常に放射線を被爆していると聞きますが、治療でのX線被爆は大丈夫ですか?
A. 人間は自然放射線によって年間約2.4ミリシーベルト被爆しています。胸部のX線写真を一枚撮ると約0.06ミリシーベルト被爆しますが、その量は数値的に自然放射線の約40分の1と考えられます。また、太陽の核融合から発生する宇宙線は、平地より富士山のように太陽に近い場所の方が、多く被爆します。歯科治療におけるレントゲン撮影は、インプラント治療に限らず欠かせませんから、最小の被爆量ですむように考慮しています。
50ミリシーベルト 放射線従事者年間被爆量
10ミリシーベルト ブラジル・カラバリ地方の住民(年間)
7ミリシーベルト CT撮影(頭部)
2.85ミリシーベルト X線撮影(腸)
0.6ミリシーベルト X線撮影(胃)
0.19ミリシーベルト 東京~ニューヨーク往復飛行(1回)
0.006ミリシーベルト 私の医院のX線撮影装置(1回)※一般のX線撮影装置の約1/8
Q.インプラントの費用は、どれくらいかかりますか?
A. 手術の難易度、骨を造ったり移植したりする必要性があるかないか、インプラントの本数などで異なりますので一概に申し上げられませんが、全国的にみてインプラント1本の費用は30~50万円くらいかかります。治療費に関しては、担当医とご相談され、十分納得されたうえでお決めになってください。
インプラント治療に関わる費用は健康保険が給付されませんので高額です。しかし、失った歯の代わりにインプラントが第二の永久歯として機能できれば、食生活や社会生活の質、また健康の面からしても、金品に代えられない価値があると思います。
たとえば、私たちは1日3回食事を摂ります。1カ月の食事回数は90回、1年で1080回、10年間で1万回以上になります。1本のインプラント費用30万円は、10年機能すれば1回の食事あたり30円の負担となります。この金額の負担は、あなたにとって高いでしょうか?安いでしょうか?
Q.インプラント治療を相談するときは、どうしたらいいのでしょうか?
A. インプラント治療について歯科医院に相談されるとき、電話やメールだけでは具体的な返事がいただけないことが多いと思います。
相談の際は、インプラント治療が可能であるか、否か等について、いろいろな審査・診断を行います。そのため、たとえば骨の状態を把握するために最先端技術が導入され医科用CTをはじめ、X線断層デジタル撮影やパノラマ断層撮影、歯型診断など必要最小限の診断材料が必要になります。当院では相談時の審査費用は頂いておりません。CT撮影時は2~3万円の実費がかかります。