一般歯科
虫歯と歯周病
むし歯と歯周病これらは依然として歯を失う二大疾患です。
平成17年の厚生労働省の調査(歯科疾患実態調査)によれば10代の90%が虫歯に、50代以上の80%以上が歯周病に罹患しているという結果が発表されています。
歯科疾患は内科的疾患と異なり自然治癒が望めません。このため早期発見、早期治療が歯を長く維持し機能させるためには不可欠です。
当院では診療に際し必要と考えられる患者さん、希望される患者に対し詳細な口腔情報並びに予防プログラムの提供を行っております。
虫歯について
左の図はむし歯のできる原因を示したものです。むし歯のできる要素は「歯の強さ」「むし歯(ミュータンス菌)」「砂糖の摂取」の3つがあります。これらのむし歯を作る3つの要素のコントロールが上手くいかなかった時にむし歯が出来ます。そして最近ではこれに「時間」という要素も加わって「4つの輪」と言われてます。
虫歯の進み方
C0 歯の表面の溝に着色のみの状態
歯科医の定期的な診査の上で経過観察。
C1 歯の表面のエナメル質にむし歯が限局している状態です。
痛みは余りなく歯の表面が脱灰して白くなったり、茶色に着色してザラザラしています。目立たないCR充填などで治療します
C2 象牙質までむし歯が進行して穴のあいている中等度のむし歯です。
冷たいものを食べたり飲んだりすると歯がしみます。CR充填やインレーで治療を行います。
C3 むし歯が大きな穴になて象牙質のすべてに及び、歯髄(神経)まで達した深いむし歯です。
炎症を起こしてとても激しい痛みを伴います。歯の神経の治療(歯内療法)を行い、クラウンを被せたりします。
C4 歯の根っこだけになってしまった状態です。
そのまま放置すると歯髄が腐敗して、根尖性歯周炎や歯根嚢胞(口腔外科の歯根嚢胞に飛ぶ)なってしまいます。抜歯の適用。
20年以上前にむし歯罹患率の抑制に成功している北欧諸国では、歯磨き、甘味制限に加え、フッ素を積極的に利用しています。フッ素によるむし歯予防は、現在ではグローバルスタンダード(世界標準)となっており、3つの対策を同時に行うのが、21世紀のむし歯対策の基本とされています。
フッ素について
フッ素の虫歯予防効果は以下の3つに分けられます
①再石灰化の促進
テレビCMなどでおなじみの再石灰化。歯はむし歯菌が出す酸による脱灰によって歯の表面が溶かされむし歯になります。しかし、唾液や歯垢にフッ素があると、その溶かされた歯の表面が修復されて、元の健康な歯を取り戻すことができます。その作用を再石灰化といい、フッ素はその再石灰化作用を早め強化する働きがあるのです。
②歯の質の強化
フッ素が歯に作用すると葉の表面のエナメル質が結晶が安定し、むし歯菌の出す酸に対する抵抗力を強めます。
③むし歯菌の酵素抑制
フッ素はむし歯菌が酸を作るのに必要な酵素に作用して、その働きを妨害します。
家庭における、むし歯予防のためのフッ素利用方法
フッ素入り歯磨剤(ハミガキ)
フッ素入りの歯磨き粉にて歯を磨く方法です。
フッ素うがい
フッ化ナトリウム溶液による約一分間うがいをする方法です4歳ぐらいからの実施により50%~60%のむし歯予防効果があります。
歯科医院における、むし歯予防のためのフッ素利用方法
フッ素歯面塗布
フッ素歯面塗布法には、歯ブラシや綿球、綿棒などを用いてフッ素に歯を直接、年に3~4回塗布する方法です。乳歯が生え始めてから実施する事ができ、乳歯、永久歯にも同様のむし歯予防効果があります。
フッ素配合スプレー
フッ化物配合スプレーを使ってむし歯予防をします。寝かせ磨き終了後に歯面に直接フッ化物配合スプレーを噴霧するか歯ブラシに噴霧して歯面上で伸ばすように塗布します。フッ素濃度が低く、噴霧ではきわめてわずかのフッ素ですので多めに噴霧することが必要です。スプレーとして《レノビーゴ【R】》があります。
シーラントによるむし歯予防
奥歯のかみ合わせの面は溝が深く、複雑な形をしています。そのため歯ブラシで歯の汚れ(プラーク)取りきれないため、むし歯になりやすいのは皆さんよくご存知のことと思います。
そこでのの溝をあらかじめ塞いでしますのがシーラントです。シーラントには徐々にフッ素を放出し歯が強くなったり、除菌する効果もあります。
シーラント前 | シーラント後 |
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キシリトールによるむし歯予防
キシリトールはシラカバなどから採れる天然素材の甘味料で、甘さは砂糖と同じですが、カロリーは25%低く、虫歯の原因となる酸をつくりません。
砂糖の場合、糖をミュータンス菌が分解し発酵させて酸を作り出します。その酸によって歯のエナメル質が溶かされてむし歯が出来てしまいます。一方キシリトールの場合はミュータンス菌によって発酵せず、むし歯のもととなる酸が発生しません。
しかもミュータンス菌は菌体内にキシリトールを取り込むことで、エネルギーを消耗して活性が弱ります。
さらにキシリトールを長期間使用することで、ミュータンス菌の繁殖が弱まって砂糖からも酸の生産が出来なくなるのです。
私たちの口のなかでは、食事やおやつなどで発生した酸を唾液の働きによって中和し、溶けたエナメル質を再石灰化することが行われてます。しかし酸の発生する量と回数が増えると、再石灰化が追いつかずむし歯になってしまうのです。しかしキシリトールは唾液中のカルシウムがエナメル質と結び付く再石灰化を活発にします。
歯周病について
中高年の8割が歯周病菌を持っています
歯を失う大きな原因は歯周病(歯周炎や歯肉炎)です。歯周病は、細菌のかたまりであるプラーク(歯垢)が、歯と歯ぐきの隙間である歯周ポケットに住み着くことで発生します。
20歳代までは、この歯周病菌をもっている人は少ないのですが、50歳代以降では約8割の人が持っているといわれています。歯周病になると細菌がどんどん症状を悪化させ、歯が1本2本と抜けていくようになります。
この病気が恐ろしいのは、口の中だけの問題ではすまないということです。放置していると、歯周病菌が血管に入り込み、血流にのって全身の臓器に影響を与え、肺炎や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などさまざまな病気を引き起こす一因となるのです。
予防の基本はデンタルプラークのコントロールです。そのためには、毎日のブラッシングが鉄則となります。経度の歯周病なら、毎食後のブラッシングだけで改善します。
8020運動
厚生労働省の提唱で「8020運動」が推進されています。
これは、「80歳で自分の歯を20本保ちましょう」という運動です。80歳で20本を保つには早期発見早期対応が重要です。
普段から口の中に興味を持って、早めに来院してください。
また、予防も効果的な手法です。ブラッシングが特に大切ですが、上手にブラッシングできる人は意外に少ないようです。
ブラッシングの指導
当医院ではブラッシングの指導もしております。
バス法磨き
Ⅰ.やわらかい毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度に軽く当てる
Ⅱ.ハブラシを大きく動かすのではなく、毛先を(3mm程度)左右に振動させるようにして磨く
歯周組織再生療法
基本的に当オフィスは歯周病に対しては非外科的療法で治療を試みます。
歯周外科療法は非外科療法では改善が望めない場合や、ある程度進行した歯周病が適応となります。歯周外科療法は歯周組織の良好な環境を整えるためにバクテリアを含む汚染組織を除去し、歯肉の形態を改善するという方法です。歯石を取り歯ブラシをする程度で放置・経過観察又は歯を抜くという選択しかない進行した歯周病に対し外科的に改善する治療法です。
また先進療法としてエムドゲインやGTRを併用することで従来の外科療法では困難であった組織再生が可能となってきました。歯周外科療法は大変シビアな治療法です。ご理解とご協力を得られた方のみの適応となります。ご理解とご協力が得られず施術した場合、歯周病の悪化に拍車をかけます。
【エムドゲイン】
歯科医療先進国スウェーデンBIORA社製http://www.biora.com/
歯周炎により失われた組織を再生する薬剤です。
歯周病により組織が破壊されるということは、本来歯を支えるための歯周組織の役割や機能が低下し歯がぐらついてきます。エムドゲインは従来の歯周外科治療では不可能であった歯周病により失われた歯周組織(歯槽骨・歯肉や歯の一部)の再生を促します。本薬剤は厚生労働省の認可は受けていますが、当医院ではメカニズムや副作用等に未だ検討の余地があると判断し、現在のところ適応は特殊ケースのみに限定しています。
【GTR法】
歯周病によって失われた組織を再生させる治療法の一つが歯周組織再生誘導(Guided tissue regeneration:GTR)法です。GTR法は、歯根面と骨欠損部を人工膜で被覆することによって、歯周組織が再生するためのスペースを確保する方法で、1982年ごろから臨床研究が進んできました。人工膜によって確保された空間に、歯周病によって失われた組織を作る細胞が集まり歯周組織(歯根表面には歯根 膜,歯槽骨など)が再生します。人工膜には各社多種多様にあります。当院では医療分野で人工血管や人工心膜などにも使用されている体に安全で優しい人工膜を使用しています。長期的安定予後を得るには全体的な咬み合わせの調整や口腔メインテナンスも必要です。