残暑がまだまだ厳しい日々が続いておりますが、秋の兆しも感じられるようになりました。
夜風が涼しく、朝晩の過ごしやすい気温が心地よい季節ですね。
この季節は、秋の味覚を楽しむと同時に、残暑の疲れを癒し、心身ともにリフレッシュすることが大切です。
美味しい秋の食材でエネルギーを充電して健康な日々をお過ごしください。
皆さんは、鏡で自分の歯を見て「前より黄色くなったなあ」「もっと歯が白くならないかなあ」と思ったことはありませんか?
今回は、歯の漂白についてお話ししようと思います。
漂白には、神経のない歯に行う➊「ウォーキングブリーチ」と、神経のある歯に行う➋「バイタルブリーチ」があります。
さらに、バイタルブリーチは歯科医院で実施する①「オフィスブリーチ」とご自宅で実施する②「ホームブリーチ」があります。
それぞれについてみていきましょう。
➊「ウォーキングブリーチ」
漂白剤を図のように歯の中に入れ、歯の内部から白くする方法です。処置後約1週間で再来院していただきます。
その間、継続して(歩いている間も)漂白されるため「ウォーキング=歩く」ブリーチと呼ばれています。
十分な白さになるまで、漂白剤の交換を繰り返します。3-4回される方が多いです。
適応症(できる方)
・根の先に膿が溜まって、根管治療した歯
・外傷(転倒や事故で歯をぶつけた)で歯髄が死に、変色した歯
・ある程度ご自身の歯が残っている歯
禁忌症(できない方)
・金属による変色
・無カタラーゼ症の方
➋「バイタルブリーチ」
バイタルブリーチには、①「オフィスブリーチ」と②「ホームブリーチ」の2種類があります。
①「オフィスブリーチ」は歯科医院で行うもので、1回の治療時間は長いものの、その日のうちに白くすることができます。
漂白操作は歯科医師と歯科衛生士が行うので、口を軽く開けているだけで大丈夫です。
一方、②「ホームブリーチ」はマウスピースをご自宅にて装着する方法です。
毎日一定時間、マウスピースに薬剤を入れて装着していただきます。
利点として、漂白効果の持続時間が長い、自然な白さになりやすいという報告があります。
「オフィスブリーチ」と「ホームブリーチ」には、下の表に示すような違いがあり、一概にどちらが優れているとはいえません。
そのため、オフィスブリーチとホームブリーチをどちらも実施する「デュアルホワイトニング」という方法もあります。
オフィスブリーチ |
ホームブリーチ |
|
---|---|---|
実施者 | 歯科医師、歯科衛生士 | 患者様 |
場所 | 歯科医院 | 自宅 |
治療時間 | 約90分 | 1日約2時間×約14日 |
漂白操作 | 簡単 | 煩雑 |
使用する漂白剤の濃度 | 高い | 低い |
効果持続期間 | やや短い | やや長い |
効果が出るまで | 即日 | 1-2週間 |
適応症(できる方)
・加齢による変色
・軽度のテトラサイクリン歯
・軽度のフッ素症
禁忌症(できない方)
・表面に亀裂のある歯
・欠損が大きい歯
・無カタラーゼ症の方
漂白後の注意
・知覚過敏症
オフィスブリーチでは術直後、ホームブリーチでは開始数日後に歯がしみる症状が出ることがあります。
症状が出た場合、知覚過敏を抑制する薬剤を塗布したり、知覚過敏用の歯磨剤を使用していただいたりすることで収まる場合がほとんどです。
・歯肉の白色化
歯肉が漂白剤に触れることで、白くなることがあります。
数時間から1日程度で元の色に戻りますのでご安心ください。
・飲食物の制限
オフィスブリーチでは漂白後24時間、ホームブリーチでは漂白期間中歯に色が付きやすい状態となるため、色の濃いもの、ポリフェノールが含まれるものなどを避けて下さい。
また、しみやすいため酸性が強いものも避けて下さい。
・色の後戻り
白くなった歯が再度着色してしまうことで、半年から1年で起こることが多いです。
普段の飲食物や生活習慣で個人差があります。
そもそも、何故漂白で歯が白くなるの?
使用する薬剤に秘密があります。
皆さんは「過酸化水素」をご存じでしょうか。
濃度3%前後の過酸化水素水をオキシドールともいいますが、身近なところでは洗濯用漂白剤に含まれています。
この過酸化水素水は光や熱、アルカリ環境、触媒等で分解される過程で、ヒドロキシ(OH)ラジカルというものを生じます。
過酸化水素を歯に応用すると、このヒドロキシラジカルが有機化合物=汚れや着色を分解するため歯が白くなります。
そのため、漂白で歯が削れることはありません。
いかがでしたでしょうか。
ホワイトニングの細かな治療の手順や費用に関して興味のある方は、歯科医師、歯科衛生士までお気軽にお問い合わせください。
歯科医師 田代 憲太朗
(参考文献)
保存修復学21 第6版 永末書店
保存修復学 第7版 医歯薬出版株式会社
これで納得!デンタルホワイトニング 医歯薬出版株式会社
2023年9月15日 カテゴリ:未分類